【専門家が解説】五月病とうつ病の違いとは?原因・対処法・カウンセリングの活用法
春から初夏へと季節が移り変わる5月。この時期、「なんとなくやる気が出ない」「気分が沈む」といった不調を感じる方は少なくありません。いわゆる「五月病」です。
一方で、同じような症状が見られる「うつ病」との違いがわからず、戸惑う人も多いのではないでしょうか。この記事では、五月病とうつ病の違いを明確にし、原因や対処法、そしてカウンセリングなど専門機関の受診の有効性について詳しく解説します。

■ 五月病とは?
● 五月病の概要
「五月病」は正式な医学用語ではありません。新年度に環境が変わった人(新入社員、新入生、転勤者など)に見られる一時的な適応障害のような状態を指します。
● 主な症状
- やる気が出ない
- 疲れやすい
- 気分が沈む
- 不眠または過眠
- 食欲の低下や過食
- 人と会いたくない
4月に新生活が始まり、緊張と期待の中で頑張りすぎた反動が、ゴールデンウィーク明けに現れるケースが多く見られます。
■ うつ病とは?
● うつ病の概要
うつ病は、脳内の神経伝達物質のバランスの乱れなどによって引き起こされる精神疾患であり、医療的な治療を要する状態です。
● 主な症状(2週間以上続く場合に要注意)
- 持続的な抑うつ気分
- 喜びを感じられない
- 強い無力感や罪悪感
- 集中力の低下
- 自殺念慮
- 身体的不調(頭痛、胃痛など)
うつ病は、心理的ストレスだけでなく、身体的・遺伝的な要因も関係しており、早期の診断と治療が重要です。
■ 五月病とうつ病の主な違い
項目 | 五月病 | うつ病 |
---|---|---|
発症時期 | 主に4~5月 | 季節に関係なく発症 |
原因 | 環境の変化によるストレス | 脳内の神経伝達物質の乱れなど多因子 |
症状の期間 | 一時的・軽度(数週間以内) | 持続的・重度(2週間以上) |
改善傾向 | 生活リズムの回復で改善しやすい | 専門的な治療が必要 |
対処法 | 休養・気分転換・相談 | 医療機関での治療・カウンセリング |
■ 五月病の原因と対処法
● 原因
- 環境の急変(新しい職場・人間関係)
- 頑張りすぎによる疲労の蓄積
- 理想と現実のギャップ
- 気温や天候の変化による体調の乱れ
● 対処法
- 無理せず休む
心と体を回復させるために、しっかりとした休養が大切です。 - 規則正しい生活を送る
睡眠・食事・運動のリズムを整えるだけでも、心身が安定しやすくなります。 - 信頼できる人に話す
家族や友人、同僚など、話を聞いてくれる人の存在は大きな支えになります。 - カウンセリングの利用
専門家に話を聞いてもらうことで、自分の状態や感情に気づきやすくなります。
■ うつ病の対処と治療
うつ病は、個人の努力や根性では解決できないことが多く、専門的な治療が不可欠です。
● 主な治療法
- 薬物療法:抗うつ薬を使用し、脳内のバランスを整える
- 精神療法(カウンセリング):認知行動療法など、思考の偏りに気づき、修正を支援する
- 休職・休養:無理に働き続けず、症状の改善を優先する
■ カウンセリングや専門機関の受診の有効性
● カウンセリングは「予防」と「回復」の両方に効果的
五月病も軽度のうつ状態と考えると、早めのカウンセリング受診は大きな意味があります。
- 自分の気持ちや状況を客観的に整理できる
- 「今の自分」に合った対処法を一緒に考えてもらえる
- 本格的なうつ病への進行を防ぐことができる
● どこに相談すればいいの?
- メンタルクリニック・心療内科:診断と治療が必要な場合
- 公的相談窓口(自治体の保健所など):費用をかけずに相談可能
- 臨床心理士・公認心理師のいるカウンセリングルーム:信頼できる相談先として有効
- EAP(企業内カウンセリング制度):職場に制度がある場合は活用を
■ まとめ:迷ったら、まずは相談を
五月病とうつ病は、症状が似ている部分もありますが、その本質や必要な対処は異なります。ポイントは、「どのくらいの期間・どの程度」症状が続いているか。
- 数日~1週間の不調なら生活改善を
- 2週間以上続くなら専門機関に相談を
気になる不調があるとき、自分ひとりで抱え込むことは非常に危険です。一歩踏み出して誰かに話すこと、それが最も効果的な第一歩です。
西尾心理療法指導室
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